研究者/開発者/スタッフ紹介
西舘 陽平 (NISHIDATE Yohei) 西舘 陽平 (NISHIDATE Yohei)


研究テーマ

表面形状成形誤差, 媒質内異方性, 不均一性を考慮した高精度光線追跡と、そのためのソフトウェア開発
連続体から原子スケールまでの物理, 数値モデリング, 可視化

研究内容と成果

光学系を要求された精度に合わせて設計したとしても、実際に成形したレンズやミラーを使ってみると設計通りの性能が出ないということがあります。 一般的なプラスチックレンズは射出成型という方法で作られますが、熱収縮によって表面の形が設計通りにならなかったり、材料内部に屈折率分布が出たり、異方性が出て複屈折が起こったりして光の経路が予想通りにならないのが原因です。 例えば、表面形状が設計と異なるというところを修正するには、レンズを作成して 実際に光を通したり、表面の形状誤差を測定して、それをもとに成型条件などを工夫して作成しなおすというプロセスを取りますが、光線追跡によって現実を定量的に表すのは困難であると考えられているため、為されていないようです。

成形後に出来上がる現実のレンズを再現するには、面位置や応力などを、出来上がったものから計測するか、シミュレーションで熱収縮を計算して取るかしかありませんが、 どちらも入力はサンプリング点群です。 点群からレンズ面と媒質内部を計算機内で再現することになります。

VCADシステム研究プログラムの長田上級研究員が考案したNagataパッチは、節点に複数法線があっても隣接要素とC0連続であり、線との交差判定に閉式解があるなどの利点があります。 光学系の設計に際しては、回折限界を超えるようなシミュレーションをする必要が無いので、Nagataパッチによる面表現は高精度と単純さを両立する丁度良い手法です。 Nagataパッチを使用した光線追跡シミュレーションは、市販の光学設計ソフトウェアZEMAXで使用できるようにユーザ定義面として実装されています(V-Opt-S)。 

設計の時には普通、材料内部の光学的性質は均一だという前提で設計しますが、残留応力の影響で不均一になったり、更に異方性が現れることがあります。 不均一性は媒質内での光路の変化を、異方性は複屈折による光線の分岐により、像のぼやけを引き起こします。 媒質内部のモデリングも行ったプログラムを使い、像面でのスポットやエネルギー分布の計算もできるようになりました(V-Opt2として公開予定)。


V-Opt2のスクリーンショット

VCAD公開ソフトウェア

V-Opt-S
V-Opt2

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論文・特許紹介

【論文】
Y. Nishidate
Evaluation of stress birefringence in fabricated lenses, by using a ray-tracing method for anisotropic inhomogeneous media
Procs. of VCAD symposium 2010, Wako, Japan, Mar. 2-3, 2011, pp. 189-192.

Y. Nishidate, T. Nagata, S. Morita, Y. Yamagata, and C. Teodosiu
Ray-tracing simulation procedure for general GRIN media
Frontiers in Optics 2010/Laser Science XXVI (FiO/LS 2010),Rochester, NY, USA, Oct. 24-28, 2010, OSA Technical Digest (Optical Society of America, 2010), PDPA6.

西舘 陽平, 森田 晋也, 山形 豊
成形レンズ面再構築にNagataパッチを使った光線追跡シミュレーション法
日本光学会年次学術講演会?(OPJ2010), 東京, Nov. 8-10, 2010, 9aD4.

西舘 陽平, 森田 晋也, 山形 豊
任意の点群入力を使った 成形レンズのための光線追跡法
精密工学会秋季大会学術講演会, 名古屋, Sep. 27-29, 2010, H46.

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