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掲載日:2006.7.31
![]() VCADにX線CTでとったデータを それにVCADは内部の構造や不均一な物理属性までも表現できるんです。わかりやすい話だと、そう、人体。たとえば患者さん一人一人に合った人工股関節を設計することを考えましょう。そうすると、患者さんの骨データを基に、それに適合するインプラントを描きたい。さらにはインプラントの装着後、骨に無理な力がかからないか、使っているうちに生体の適応や再生によってインプラントの周りの骨の構造が変化しないかなども知りたい。VCADシステムではそういったこともできるようになると考えています。ただ、現段階では技術的な問題だけでなく法律的な問題もあって実現するまでにはまだ時間がかかりそうですが。
もう一つは科学と技術の架け橋。 理研では生物学の研究が盛んです。例えば細胞の研究をしている多くのグループがあります。しかし、細胞はあまりにも複雑なため、個々の研究グループは、核とか、細胞膜とか、ミトコンドリアとか細胞を構成する個別の要素を掘り下げて研究するのに手一杯で、それらが統合された細胞を丸ごと理解しようという試みはこれまでありませんでした。私達は VCAD システムを用いてそこに挑もうと考えています。今、多くの細胞の研究者と組んで、計算機の中に細胞を作り上げると言う仕事を始めたところです。「生きた細胞のモデリング」を行い、生物研究基盤ツールとしてそのモデルを公開し、世界中の研究者に使ってもらおうというのが、私達の描いている夢です。 VCAD システムは、人間の知的な活動とたいへん相性が良いシステムです。人は何か新しい現象を「見つけた」ら、その本質を「理解したい」と考えます。理解ができれば先に何が起こるかを「予測したい」と考える。さらには、その現象を「制御する」ことを欲する。この「見つける」「理解する」「予測する」「制御する」と言う一連の流れは VCAD システムで言えば「測定」「モデル化、定式化」「シミュレーション」「最適化、システム化」の流れとたいへん近い。さらに言えば、見つけると理解するは科学、予測すると制御するは技術の色合いが強い。 VCAD システムに、科学と技術をつなげる道具としての役割を期待するのはこういったことなのです。 生きた細胞のモデルも、将来は創薬などの技術開発に使うための道具になると大いに期待しています。
どこから話していいのかわかりませんが、私は70年代の後半から材料の変形などを扱う力学理論の研究を始め、80年代にはその理論を用いて材料の変形や破壊の過程を計算機の中でどう解くかということを研究しだしました。その後、金属板材のプレス過程のシミュレーションを中心に金属の成形に注目していきます。90年代に入るとともに海外から実際に企業で使えるようなソフトウェアを作り出す非常に強力なグループが出てきたんです。このままでは日本の研究が置いて行かれてしまうと危惧して、多くの企業に呼びかけて板成形シミュレーション研究会という組織を作りました。そこで開発したのがITAS3D(板成形3D)というソフトウェアなんです。
このソフトウェアは、その後理研ベンチャー企業「(株)先端力学シミュレーション研究所」で商品ソフトウェアに作り直されて、現在は多くの製造業で使われています。
1978年頃から非線形連続体力学理論の研究を始める。 |
牧野内昭武プロフィール
1940年生まれ。 VCADの特徴
1.複雑な形や内部構造、不均一な物性を持つ物体をセルを単位として表現できる。 |
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